[ mute ] :シンプルラズパイオーディオ / MPD ダッシュボード
[ mute ] は、MPD(Music Player Daemon)とRaspberryPiを使った「ラズパイオーディオ・プレーヤー」 をセットアップするためのシンプルなダッシュボードプログラムです。
このプログラムはあなたのRaspberryPiにインストールして、同じネットワーク上のタブレットやPCなどのブラウザから操作するWebアプリとして使用します。大きな特長は、このWebアプリはラズパイオーディオの設定のため”だけ”のものであり、楽曲のブラウジングや再生コントロールは一切おこなわない、ということです。これがVolumioやmoOdeなどのラズパイオーディオ ディストリビューションとは大きく異なる点です。楽曲ブラウズや再生コントロールには、モバイルデバイスやPCにインストールしたMPDクライアント・アプリ(たとえばiOS用ならyaMPC)を組み合わせます。
なぜそんな中途半端なものをリリースするの?
オールインワンのオーディオディストリビューションでは、常に最新のMPDを使える訳ではないから。また、ラズパイはシンプルにネットワークオーディオサーバーとして走らせて、音楽はMPDクライアントアプリで楽しみたいからです。
そのためにMPDを手動でインストールして音を出そうとすると、LinuxのOSやコマンド、MPDの各種設定についてそこそこの知識と技術が必要になり、一気に導入のハードルが高くなってしまいます。で結局、それ自身で完結しているはずの多機能オーディオディストビューションをわざわざMPDクライアントアプリで操作することになってしまう...
じゃあその「素のMPDオーディオサーバー」を手軽に構築できるものを作ろう、こうしてできたのが [ mute ] というわけです。
[ mute ] ver.1.10.0 ダウンロード
下記リンクよりセッティングファイルをダウンロードして、以下の手順で [ mute ]をインストールしてください。フィードバックはこのページ最後の問い合わせフォームからお送りいただけると幸いです。
*Bookworm対応しました!インストーラの格納先が従来のOSと異なります。下記インストールガイドをチェックしてください。
(主な変更点)
- mpdscribbleの設定を修正 / Other Setting Tab
- RaspberryPi5でI2S DACをロードできない場合がある問題を修正
- アップデートスクリプトの見直し: Updateデータのホスト先を DropBox から GitHub に変更
- NASマウント前にDBアップデートを促すダイアログを表示 / Source Volume Tab
- GitHubでソースとパッケージの管理を開始
- サイドバーに通知バッジを表示 (reboot required, update available)
- Web Radio list Tabを追加 (アルファ版)
- Web Radio list Tabの説明を追加 / About Tab
[ mute ] のインストール
[ mute ] は以下の手順でインストールします。
Step 1 : RaspberryPi OS メディア(SDカード)を作成
Step 2 : OSメディアの/boot以下 に「mute_setting」フォルダをコピー
Step 3 : RaspberryPiにOSメディアをセット、起動
Step 4 : RaspberryPiにSSHで接続してインストールコマンド cd /boot/firmware/mute_setting && ./install_mute.sh を入力
Step 5 : PCやタブレットのブラウザでRaspberryPiにアクセス
Step 1:RaspberryPi OS メディア(SDカード)を作成
RaspberryPi Imagerを使って、RaspberryPi OSのOSメディアを作ります。
OS:RaspberryPi OS Lite(32bit/64bit)
*最新のMPDのインストールは32bit OSにのみ対応しています。
ストレージ:SDカード 8GB以上
オプション: 1)SSHを有効化、2)書き込み終了時のSDカードのアンマウントをOFF
Step 2:OSメディアに「mute_setting」をコピー
上のリンクからダウンロードしたファイルを解凍(展開)すると「mute_setting」フォルダが出来上ります。これをOSメディアの一番上の階層「/boot」にフォルダごとコピーします。
*ダウンロードと同時に解凍(展開)されている場合もあります。
Step 3 : RaspberryPiにOSメディアをセット、起動
OSメディアをRaspberryPiにセットして、電源を入れます。
RaspberryPiが起動したら、PCのターミナルソフトなどからSSHでアクセスします。先ほどOSメディアを作る時に設定したユーザー名とパスワードを使ってアクセスします。
ssh <ユーザー名>@<ホスト名>.local
例:ssh pi@raspberrypi.local
と入力したのち、パスワードを入力します。
Step 4 : RaspberryPiにSSHで接続してインストールコマンドを入力
SSHで接続できたら以下のコマンドを入力します;
最新OS(Bookworm)の場合:cd /boot/firmware/mute_setting && ./install_mute.sh
レガシーOSの場合:cd /boot/mute_setting && ./install_mute.sh
(注意!)従来のOSバージョンによって、インストーラの格納先が異なりますのでご注意ください。
インストールシェルが起動しますので、「Y」またはenterを入力してインストールを実行してください。インストールが始まります。
Step 5 : PCやタブレットのブラウザでRaspberryPiにアクセス
再起動後、Step 4の最後のメッセージに書かれた " xxxx.local " にPCやタブレットのWebブラウザでアクセスします。下のような画面が表示されたら [ mute ]のインストールは成功です。
[ mute ] メニュー
Menu 1:MPD(Musin Player Daemon)インストール
なぜあらかじめMPD ( Music Player Daemon )がインストールされていないのでしょうか?それは、通常RaspberryPi OSにインストールされるMPDは最新のバージョンではないからです。
RaspberryPi OSの安定版MPD ( Music Player Daemon )は最新のMPDではなく、開発元MPDプロジェクトでも「バージョン古すぎてサポート対象外」扱いとなっています。[ mute ]では、このMPDをMPD公式の最新バージョン(Backports)とRaspberryPi OS公式の安定バージョン(Stable)のどちらかを選んでインストールすることができます。どちらのバージョンもインストールには少し時間(10分前後)がかかります。少しの辛抱です。
*ちゃんとテストしていないのでお勧めはしませんが、上級者の方は好みのMPDをコンパイルして使うこともできると思います。mpd.confだけ[ mute ]専用のもの(/var/www/cgi-bin/etc/mpd.conf.mute)に差し替えれば、多分大丈夫です。
Menu 2:RaspberryPi OS 設定
このタブでは、ホスト名、パスワード、タイムゾーンやWiFiなどの設定を行います。RaspberryPi OS ImagerでOSメディア作成時に設定ができていれば、[ mute ]インストール時に設定作業が必要な箇所はありません。
同時に、RaspberryPiボードのモデル名、CPU温度、RaspberryPi OSのバージョンなどの状態を確認することができます。また、電源オフや再起動を行う際にもこのメニューにアクセスします。
Menu 3:サウンド・デバイス設定
DAC HATやUSB DACなどのサウンドデバイスの設定を行います。
サウンドドライバーはALSAで、PulseAudioには対応していません。USB DACは接続すると自動的に認識されますが、RasberryPiのGPIOポートを使ってI2S接続するDAC HATは自動認識されないのでここで登録が必要です。
登録が完了すると、「Sound Check」ボタンでサウンドデバイスの音出しドチェックができるようになります。このテストは、MPDの設定前でも可能です。DACがちゃんと接続できているか、ざっと確認するのに便利です。
Menu 4:ソースボリューム設定
音楽ライブラリが保存されているNASを登録します。NASのマウントに成功すると、[ mute ]が自動的にMPDの/musicディレクトリにシンボリックリンクを作成します。そうでない場合は、SMBのバージョンを確認してください。ほとんどの場合、"vers=1.0 "でうまくいくはずです。
複数のNAS登録が可能です。USBメモリは複数のオートマウントに対応しています。
Menu 5:MPD設定
お楽しみのMPDのセットアップです。無事インストールに成功していると、様々な設定項目が見えるようになります。特に、Decoder Pluginの設定を直接変更できるのは、他のディストリビューションにはないユニークな機能です。AACデータの再生をfaadじゃなくてffmpegに変更するのにSSHでmpd.confを直接開いて書き換えなくてもいいんです。
そのほかMPDのリスタートやMusic Databaseのアップデートなどもここで操作します。
(注)Menu 4:Source VolumeでNASやUSBの設定をしたら、必ず Update DBを実行してください。
Menu 6:その他の設定
ここでは、次のような設定が可能です。
- Last.fmの設定
再生楽曲のシェアサイト、Last.fmへアクセスして再生曲の情報をアップロードできます。あらかじめLasr.fmアカウントが必要です。
- 音楽ファイル(FLAC、ALAC、AAC)からカバーアート画像を取得する
yaMPC開発者 鈴木康之さんの「getcover」プログラムを使って、楽曲ファイルからカバーアート画像を抽出・保存します。
- MPDクライアント設定用の [ホスト名] と [カバーアートサーバー名] のコピー
yaMPCなどのMPDクライアントの設定で必要なホスト名とカバーアートサーバー(URL)をコピーします。地味に便利です。
- ダークモード/ライトモードの切り替え
デフォルトでダークモードはONになっています。
Menu 7:アップデート
RaspberryPi OSのアップデートを探して、もしあればアップデートを実行できます。
*現在、muteアップデートはデータホスト先のリンク仕様の変更(DxxpBxxのアレ)により使用できません。
セッティングが終わったら:MPDクライアントで操作する
冒頭に書いたように、[ mute ] はMPDオーディオサーバーのダッシュボードアプリで、楽曲ブラウズや再生操作は別途MPDクライアントが必要です。
いろいろなMPDクライアントがありますが、まずはiOS用の「yaMPC」をお勧めします。
なぜなら、私がUIデザインを担当しているアプリだからです!よろしくお願いします!
[ mute ] ができるまで
[ mute ] は、iOS用 MPDクライアントアプリyaMPC 開発元 Open Audio Lab のコンテンツ「MPDのインストール」をプログラムとして実装したものです。こちらのコンテンツも参考にしていただければ幸いです。
もともとyaMPCをできるだけ多くの皆さんに使っていただくのに、moOdeやvolumioとの組み合わせでは機能重複があり本末転倒だし、かと言って自力でのMPD構築はかなりハードル高いし、その中間くらいのMPDサーバーがあればそれでいいのにね、という「yaMPCの普及促進策」として2020年にスタートしました。
というわけで、このアプリはフリーで公開します。
[ mute ]は、シェルコマンドBashでCGIをコーディング、軽量Webサーバー Lighttpd(ライティー)上で実行しています。UIデザインはHTMLとCSS(とほんの少しJavascript)で構築しています。BashもHTMLもCSSもまったくの初心者でしたので、こんなに時間がかかってしまいました。
名前の由来は、音出し前の無音状態だからとか、レコードレーベルのmute recordsから取ったとか、ウィリアム=ギブソン『ニューロマンサー』のAI冬寂(ウィンターミュート)からとか、諸説あります。
最後に、開発に際してアドバイスをいただいたり、アルファテストなどまでやっていただいたyaMPC開発者 鈴木康之さんのサポートに感謝いたします。
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[ mute ]のインストールや操作に関してのお問い合わせは、こちらのフォームからお願いします。